2015 課題 「場所を記し写す」

場所を記し写す

上野公園の中から、2つの場所を選び、2つが比較できるように記述・表記して下さい。2つが違うこと、同じであることを前述の表記を用いて説明して下さい。

提出物: ビジュアライズ A0 一枚

建築はひとりでセルフビルドすることも出来ますが、多くの場合複数の人物が関わって作り上げます。規模の大小に関わらず、たくさんの情報を伝え合わなければなりません。
そのために建築を設計する特有の書き記し方があります。それらは建築を検討したり設計するのにとても便利に工夫されています。今後たくさんの設計課題を通じて、専門的な方法を習得していくでしょう。
一方、建築設計の独創性は、ユニークなものの見方、捉え方から発することもすくなくありません。自分なりの感じ方、見方を大切にし、その記述、記録方法を模索していきましょう。自分なりの物差しを育てること、そして願わくばその物差しが、他者と共有、共感できるような交換性をもっていること、を期待します。
建築を考える出発点となる「場所」にはさまざまな情報があります。長さや時間、数値化できないものかもしれません。専門的な建築の記述方法にとらわれず、何をどのように計るか、どのように記録記述できるかを、この課題で考えていきます。

 

2014年度記録 参考

次回4月22日(水)までのTODOとエスキース・メモ

次回まで:

  • 各自ピックアップした2つの場所について、具体的な指標を決めて、計測などをおこないデータ採取をしておくこと。各自の場所比較指標についてはエスキース時に話し合った内容を基に。
  • ビジュアライズのアイディアなども検討をすすめておくこと。

以下メモ(エスキース順):

  • 公園の第一印象としての迷路感。それが変化していく。記憶、認識のある場所←→アイソレートされた場所。主要施設、印象に残る施設(ランドマークや公園設備も含めて)までの距離(一般的に多用されると観察できる公園内路を経由した)の合計を比較してみては?場所に立った際の、視野内の建物の割合など。公園内施設と場所が、記憶として結びつく要因となる公園の構造が抜き出せれば。
  • 若葉が美しく、自然のみずみずしさ、公園内にある文化施設と直接関連がなくとも、知的な印象を受ける。植生の偏り、道の曲がり度合いなど、「違い」の要因となる色々な変数に気づき、見つけられたことは良い。歩行路面と植栽部分の高低差、最高部と歩道の距離の関係、築山の影響、など構造を少ない指標で定量的に測れるとよいかも。また2つのフレームの大きさを変えていることも面白い要素になりえそう。
  • 独自に定義した「空間」という単位で、空中の3次元ポイントにある何らかのスカラー値を、グリッド状に計測しその微差をとらえてマップする。光を測る(あるいは光に相関する明るさなど)単位はあるものの(lm・s、lm、cd、cd/m2、lx、rlx、lm/W)、それぞれ何に使うかという目的のある単位であるから、今回の指標にフィットするかどうかはわからない。露出計のようなもので、計測の方法やルールを作ってそのルールに従って2つの場所を計測してみる、という感じ?計測時の誤差やノイズは、計測回数で馴らす?そこまで微差がとれるか。
  • 木に囲まれた歩道の比較。アイレベルでの水平断面をあるい程度詳細に記述してみる。断面群の密度や断面同士の距離関係をネットワークのように表現してみると、2場所の違いが表現できるかもしれない。
  • 上野動物園、入口と出口の違い。出入りという意味の違い、明るさの違い、人の声、カラスの鳴き声、など違いの因となる要素はたくさんありそうだが、すくない指標で一元的にはかれるのもひとつ目指したいところ。ピックアップした場所のフレームの外のことを計測・記述してみるのもありかもしれない。入り口として認識される最遠距離、出口として認識される最遠距離と方角などでみることはできないか。
  • 似ている構造の場所(ブリッジの下)を選んでいるのは、むしろその違いを示すのに良い切り口といえそう。超ロング断面図をまず記述してみて、そこから距離、長さの比など、構造的な違いを拾えそう。
  • 一本道の色彩の比較。通りの立面写真をうまく連続するように撮影し、それを短冊状に分割。分割範囲で印象のある(印象の強い?、選び方はある程度ルールを)色を抜き出し→代表色を決める。その代表色がどのように連続しているかを、2つの一本道の比較の指標とする。
  • ベンチに座った目線での場所性。ベンチのリッチさを測れる?ベンチの幅でその前の空間の大きさ、対面の寿樹の見上げ高さ、角度、と直上の木の被覆感、などを定量的に測る。
  • 中央の桜並木の両端を2箇所。路面と枝の張り出し度合いを細かく計測記述して、アーチ上の通過空間の構造を測れそう?2場所でありながら、グラデーションが予測される?
  • 視野内の焦点のあっている部分とそうでない部分。あっていない部分の方がその場をうまくリフレクトしているのではないか(無意識的認識?)JR上野駅入口、京成駅入口。パノラマ写真において、アイレベルは認識がはっきりしていそうだから、その水平レベル付近を抜いたパノラマ写真を作ってみる。そこに占められている対象の割合などで、場所が映せるかも?
  • 透明度、電話ボックス。都立美術館のエントランスから等距離の場所、平面形状が同じ(ミラー)を選び、そこから違いの指標を探す。公園利用者、芸大生にとって経験的に性質の差が鮮明なので、視点を変えて、時代的にも特殊な位置づけとなってきた電話ボックスを指標作りのヒントにしてみては?
  • JR上野駅公園口、動物園入口前、待合、子供の割合、場で起こるイベントによって場所をはかり、比較。JR口と動物園口の違いが大きいので、もうすこし小さい範囲の微差を測ってみては?待合せというイベントに特に絞ることでも、何か見出せるかも?
  • 樹木が連続している空間、歩道空間だが性質が異なるように見える。人の通過行動の観察から、人工的に整備された路面からのそれて通る度合い、それる角度、歩道の方向と人の歩行方向との差、などで測れないか?公園の路面の構造と歩行イベントを合わせて視る。
  • 桜通り、アジサイ遊歩道。植栽の演出されている両歩道の性質の違い。人のクラスター度(グループ化、団体傾向)で場所の違いをはかれないか。
  • 公園への17箇所のエントランスから2箇所を選ぶ。公園内外をつなぐ地点を選んでいるのは面白いかもしれない。そのポイントを都市機能のノード(交通の結節点)として考えて、そのノードの持っている色々なポテンシャル(潜在力)を測れないだろうか?

表記ビジュアライズ参考書

地図 視点とデザイン / スーザン・サウスワース + マイケル・サウスワース

『10+1』 NO.3 特集=ノーテーション/カルトグラフィ

時間のヒダ、空間のシワ…[時間地図]の試み: 杉浦康平のダイアグラム・コレクション

インフォグラフィックスの潮流 情報と図解の近代史

現代建築家コンセプト・シリーズ9 ダブルネガティヴス アーキテクチャー ――塵の眼、塵の建築

すべて芸大建築科図書館にあると思います。

 

KAJIMAダイジェスト 2015 連載「都市をはかる」

第4回 圏域をはかる

第3回 公平性をはかる

第2回 交通をはかる

第1回 距離をはかる

 

次週ゲストエスキース

次回 4月22日13:00~のエスキースには、新井崇俊さんをゲストにお呼びします。

新井崇俊 (Takatoshi ARAI)

京都大学工学部建築学科卒.東京大学大学院工学系研究科博士後期課程修了.
博士(工学).東京大学生産技術研究所特任助教.
hclab. コアメンバー.

 

2016 課題 「場所を記し写す」

場所を記し写す

芸大構内・周辺(半径1Km程度)からある場所を選び、その場所が連続していると考えられる範囲を記述・表記してください。その連続性(同一性)を記述・表記を用いて説明して下さい。

提出物: A0平面 x 1枚 (A3 x 8) 手書き、CAD、グラフィックエディタ、出力方法不問

建築は全てをひとりで行うことも出来ますが、多くの場合複数の人が関わって作り上げます。計画から建設に至ってたくさんの情報を伝え合わなければなりません。その為にも建築には特有の記し方があり、建築を検討したり設計するのに便利に工夫されています。今後たくさんの設計課題を通じて習得していくでしょう。
一方建築設計の独創性は、ユニークなものの見方、捉え方から発することもすくなくありません。自分なりの感じ方、見方を大切にし、その記述・記録方法を模索していきましょう。自分の物差しを育てること、その物差しが他者と共有・共感できるような互換性をもっていることを期待します。
建築を考える出発点となる「場所」にはさまざまな情報があります。長さや時間あるいは数値化できないものかもしれません。一般的な建築の記述方法にとらわれず、何をどのように測るか、どのように記録・記述できるかをこの課題で考えていきます。

2015年記録 参考

2014年度記録 参考

講評会ゲストクリティック

次回4月27日(水) 場所課題「場所を記し映す」 提出 + 講評会 講評者ゲストを予定しております。

新井崇俊(アライタカトシ)さん

工学博士、東京大学生産技術研究所特任助教、都市研究室 hclab.コアメンバー

鳴川肇(ナルカワハジメ) さん

慶應義塾大学環境情報学部准教授オーサグラフ開発者

國廣純子(クニヒロジュンコ)さん

青梅市タウンマネージャー、都市研究室 hclab.コアメンバー

講評会について

初めての講評会ということで、形式や勝手がわからないかもしれません。基本的な流れは

  • 持ち時間(5分程度、詳細松田さんより指示あり)内に提出物を用いて説明する
  • クリティック(ゲストや講師、担当教官)からコメントをもらう、あるいは質疑応答する

というやり取りの繰り返しになります。講評会は押しなべて割り当て時間が短いので、できるだけポイントを絞って簡潔に。今回の課題の説明のポイントとしては

  1. どの場所を選んだのか
  2. なぜ選んだのか(場に行ったときの感触や体験から、でもよいし、何らかの見立てや予測があったのならばそれについて、でもよいです)
  3. xxの基準において、xxの見方において、この場所はここからここまで(範囲)と考えました(結果、結論)
  4. その場所の範囲をどのように抽出したのか、その調査方法や場所の範囲を読み取ることのできた表記方法について(詳細説明)

を明確に伝えてください。